
第一章 朝鮮戦争
作:NYO
〇登場人物
不破さん(50代前半) 介護士。本名は高橋。
後藤田くん(50代前半)介護士。本名は田口。
ベッカムさん(40代後半)介護士。本名は三浦。
日誌をファイルに綴じる不破。パソコンを打つベッカム。
不破「はぁ、日誌、印刷して綴じる必要あんのかな。パソコンにも保存してあんのに」
ベッカム「しょうがないよ。介護施設なんて、感覚がまだまだ昭和だからさ」
不破「昭和ねえ。だったら、正社員にして欲しいよな。あの時代は、ほとんどみんな正社員だったんだからさ」
ベッカム「ホント、悪いとこ取りの職場だよね。昭和と現代の」
不破「ディストピアってこういうことかな。2035年だってのに、日本は退化してる」
ベッカム「あー、映画とかだと2001年にはもう、人類、木星に行ってるからね。自家用車が空飛んでるとか、そのくらい本気で想像してたけど」
不破「実現したのは薄型テレビぐらいか」
ベッカム「せめて、ボーナスもらって50インチくらいの買いたいね」
不破「ボーナスね。非正規には夢のまた夢だな」
後藤田が登場。
後藤田「またですよ・・・。西棟で、いつものアレ。ホワイトハウスが・・・」
ベッカム「また?」
不破「またか・・・。こっちの栄養マネジメントに全然従わないよな・・・マジいい加減にしろよ・・・」
後藤田「みんなをクレムリンの脅威から守ってやるから、夕食のオカズ、一品よこせっていう。こりゃ、東側のがまだマシかもしれないですね」
ベッカム「ちゃんとみんなの栄養状態考えてんのに。これじゃあ、あのじいさんだけぶっくぶくだよ。どこかの将軍様みたいだわ………」
不破「そうそう。ホワイトハウスにこれ以上栄養必要ねーっつーの。あの人、肥満じゃん。見なよ、ソウルさんなんかガリガリにやせ細っちゃって・・・」
ベッカム「あたしより細くて心配・・・」
不破「ああ・・・ねえ・・・。それでもピョンヤンさんには敵対意識燃やしてるけどね。どこからそんな元気が湧いてくるんだか・・・認知症、恐るべし」
後藤田「そういえば、利用者をアダ名で呼ぶの禁止になりませんでしたっけ?」
不破「仕方ねーじゃん。この名前で呼び合わねえとさ、俺がつけたアダ名が気に入らないのかって、ホワイトハウスが大暴れするから」
後藤田「アレですよね、ホワイトハウスのじいさんが付け始めたんですよね?」
不破「そうそう、後藤田くんも俺も、あの人に付けられたんだよね」
後藤田「センス、古いんですよね。後藤田って、昔、警察庁長官だった人みたいで」
ベッカム「それが、何でアダ名になっちゃったんですか」
不破「ひげ剃り上手かったんだよね、後藤田くん。電気カミソリで利用者のヒゲ剃ってあげてたらさ・・・ホワイトハウスが「決めた、お前、後藤田だ」って」
ベッカム「どういうこと?」
後藤田「後藤田さんって、キレ者でね、カミソリ後藤田って呼ばれてたらしいんですよ、どうも」
ベッカム「えー、それだけで?」
不破「懐かしかったんじゃない?あの人、学生運動やってたから。印象残ってたんだよね、たぶん」
ベッカム「にしても、安直だよね」
不破「安直だよ。ピョンヤンさんなんて、朝鮮半島の歌に詳しいってだけで付いたアダ名だからね」
後藤田「ずるいんですよ、自分はホワイトハウスですからね」
ベッカム「なんか、ちょっとカッコいいよね、ピョンヤンさんに比べて」
不破「俺は笑ったけどね。学生運動やってたのに、イデオロギー真逆じゃんって。そしたら、あの人、転向右翼でさ・・・」
ベッカム「なに、言ってること半分くらいわかんないんだけど」
後藤田「この人、歴史マニアなんですよ。夜勤の時とか、話し始めると止まらないですから」
ベッカム「そうなんだ」
ナースコールが鳴る。
後藤田「あー、ペキンさんだ」
不破「また、クレムリンと痴話ゲンカでしょ」
後藤田「ハハ、でしょうね、多分。行って来ます」
後藤田、出て行く・
ベッカム「そういえばさ、ペキンさんは、何でペキンさんなの?」
不破「あの人はさ、農業やってるじゃない?」
ベッカム「ああ、裏の庭でやってるよね」
不破「ちょっと前まで、田舎に畑持っててさ、けっこう大規模にやってたらしいんだよね」
ベッカム「えー、専業農家?すごくない?」
不破「でも、最初の頃は上手くいかなかったらしくてさ、もう、盛大に作物枯らしたこととかあったみたい。だから、ペキンさん」
ベッカム「え・・・なに・・・わかんない」
不破「中国もそういう時期があったんだよ。盛大に農業失敗して、餓死者をメチャクチャ出した時期がさ」
ベッカム「あー、そういうこと。そんなの、不破さんみたいに歴史詳しくなきゃわかんないって」
不破「いやあ、ほとんどYouTubeの知識だよ」
そこに、後藤田が帰って来る。コンギョの歌を口ずさんでいる。
後藤田「コンギョ コンギョ コンギョッ ガップロ~♪」
不破「新曲?ピョンヤンさんの」
後藤田「ええ、しょっちゅう歌ってるんで、耳にこびりついちゃって」
全員、コンギョの歌を口ずさむ。
ベッカム「どういう意味?」
不破「将軍様の戦法は、雷鳴のごとく攻撃!稲妻のごとく攻撃!攻撃!攻撃!攻撃戦だー!!・・・かな(笑)」
ベッカム「守りはないの!?」
不破「歌詞にあるよ。攻撃されても守りはしない!らしい。将軍様は死なねえんじゃね?」
ベッカム「なる〜。不死身ってことね」
後藤田「ベッカムさんも死なないでしょ。ベッカムだし。不屈のプレミア魂で」
ベッカム「いや、死ぬ死ぬ。私もベッカムも死ぬから」
後藤田「死なないでしょ。デビット・ベッカムですよ?イングランド代表の」
ベッカム「あー、なんつーかデビット違いだよね。私が好きなのはサッカーのデビットじゃなくて、ロックのデビットなんで・・・」
後藤田「そんないっぱい、ベッカムいるんですね」
ベッカム「だから、ベッカムじゃないって。デビット・ボウイ!」
後藤田「そんなサッカー選手もいるんですね」
ベッカム「だから、ロックですって。グラムロック!サッカー好きじゃないから」
後藤田「またまたー」
不破「そういえば、ベッカムさんだけだよね、この施設で利用者が付けたんじゃないアダ名の人」
ベッカム「そうだっけ?」
後藤田「私、後藤田呼ばれてますけど、本名田口ですし。不破さんは高橋でしたっけ?」
不破「そうそう。俺、院長ってあだ名だったのに、委員長と聞き違えてさ、ホワイトハウスが。で、不破さんにされちゃった」
ベッカム「どういうこと?」
不破「彼が若いころ頃、ちょうど不破哲三が活躍してたんだよね。だから、共産党の委員長っつったら、今でも不破さんなんだろうね」
ベッカム「はは……そうなんだ。でも、その前のアダ名はなんで院長だったの?そっちのほうが気になるんだけど」
不破「見てよこのお腹。大病院の偉い人っぽくね?」
後藤田「あー、貫禄ありますね。確かに院長って感じ」
ナースコール
後藤田「あー、ソウルさんだ。ちょっと行って来ます」
後藤田、出ていく。
不破「あれ、ソウルさん、コール押したんだ・・・今日は繋がってる日か、頭の回路が」
ベッカム「あー、今日、ボケてない日か。そういう日ってナースコール、連打するよね、あの人。戦争にならないといいけど・・・」
不破「面倒くさいね・・・。今日も平和だといいな」
後藤田が戻ってくる。
後藤田「大変大変、ピョンヤンさんがソウルさんの部屋に侵入して、ソウルさん、パニックになっちゃって!」
不破「あー、早くも平和が破られた」
ベッカム「あの人、ソウルさんのこと目の敵にしてるからね」
後藤田「絶叫を聞きつけたホワイトハウスが飛び込んできて、もう大乱闘ですよ、ピョンヤンさんと」
ベッカム「う〜わ。こういう時す〜ぐかけつけるんだよね、ホワイトハウス。」
後藤田「二人とも、止めるの手伝ってください。ソウルさんもピョンヤンさんも、興奮すると大変ですから」
三人、出ていく。すぐにクタクタになって入ってくる。
不破「立て籠もってたね、ピョンヤンさん、ソウルさんの部屋に」
後藤田「いつも鍵かけるなって言ってるのに、しっかり施錠して」
ベッカム「ホワイトハウス、興奮してたね。ダルかったわ〜」
不破「ね・・・。はー、ソウルさん、隣りの部屋に移してくれ言い出してるし」
ベッカム「なに、亡命?」
後藤田「いい迷惑ですね」
ナースコール
不破「はぁ・・・今度は俺が見てくる・・・」
不破、一旦出て行くがすぐに戻ってくる
不破「やるね、ホワイトハウス。えげつないわ。おフランスとかロンドンのじいちゃん呼んで。ピョンヤンさんの寝込みを襲ったらしいよ」
ベッカムさん「どうやって!?ドア、施錠されてるのに」
不破「ベランダ経由して入ったらしいよ」
後藤田「もはや、奇襲攻撃ですね」
ベッカム「あー、ソウルさん、窓のカギ施錠しないからね」
後藤田「で、ピョンヤンさん、どうしたんですか?」
不破「びびって自分の部屋に帰っちゃった」
ベッカム「ピョンヤンさん、明日、覚えてないといいね。たまに、忘れたこと急に思い出して大騒ぎするから」
不破「そうね。でも大体、予想は悪い方に当たる」
ベッカム「とりあえず休憩しよう。疲れたわー・・・」
後藤田「水分入れます?」
不破「あと、糖分」
ベッカム「あ、昨日、おフランスさんのご家族が差し入れてくれたお菓子あるよ。」
後藤田「えっと、ルマンドと、アルフォートと、シルベーヌと、ホワイトロリィタ。うぇぇ、甘そ~」
不破「宝の山だねえ。もってくれ、俺の膵臓!みたいな」
ベッカム「どうせなら、ルマンド男子も希望したいっすわ」
不破「なにそれ」
ベッカム「出てくるんすよ、ルマンドの化身みたいな甘めの男子がね、CMに。初代が仲村倫也で、今、何代目だっけ」
不破「ちょっと・・・いるじゃない、ほら」
後藤田「ルマンドおじさん、二人も」
ベッカム「はぁ、今の日本で男子を求めるのは贅沢っすね。若い子は希少価値だから」
後藤田「少子高齢化、ここに極まるってやつですね」
不破「待ってよ。どういうこと?俺たちだって男子でしょ」
ベッカム「男子っつったら若い子だから」
不破「そりゃ、問題発言だな。セクハラだよ」
ベッカム「事実じゃん。私だって女子扱いされないんだから、おあいこだよね」
後藤田「まあ、ここだけは治外法権にしましょうよ。こんなストレスたまる職場でコンプライアンス言い始めたら、スタッフの九割ぐらいハラスメントで懲戒免職なって、老人介護する人、いなくなっちゃいますよ」
不破「2035年か。高齢者の人口って、今がピークなんだっけ」
後藤田「少子化も止まらず、今や人口の三分の一が高齢者ですからね」
不破「カンペキ、人足りてねえし。超絶ブラックだよな、この業界。労働基準法、守られてねーし」
後藤田「しょうがないですよ。自分らも、ほかに働けるとこないですもん」
ベッカム「ここ、労基署に訴えてつぶしてもね。次に働くとこも同じようなもんだし」
不破「俺ら世代、わざと就職氷河期にしたのかな。介護させるために」
ベッカム「ホント、悪態ぐらい許してくんないとね」
後藤田「老人が増えすぎて、もう彼らの手助けなしじゃ施設も回りませんからね」
不破「本当はいけないんだけどね、スタッフ以外に仕事に手ぇ出させちゃ」
ベッカム「もう、自治という名の黙認状態だよね」
不破「そういや、利用者をアダ名で呼ぶなんて、モラル的にはあんまよくないけどさ」
後藤田「それも黙認ですね。さっきも言いましたけど、コンプラ言い始めたらこの業界、回りませんから」
不破「昔はモラハラって、厳しく取り締まられたけどね。ただでさえ、大量の団塊老人を面倒みなきゃなんないのにさ・・・」
ベッカム「ストレスで爆発寸前のとこ、コンプラまで順守しろって言われたら、さすがに辞めるね」
後藤田「家族みんなで働かないと、経済が成り立たない家も多いですからね」
不破「自分たちで、爺さん婆さん介護できない人たちは、コンプラ違反ぐらい黙認せざるを得ないよな」
ベッカム「うん、そんなうっさいこと言ったら、老人介護をするヤツなんてマジでいなくなるよ」
再びナースコール。
ベッカム「ああっ、何!?はぁ・・・今度、ピョンヤンさんの部屋じゃんよ。あーもー、ちょっと行って来ます」
後藤田「しかし、ここまでやらせて、私たち契約社員っていうのも納得いかないですね」
不破「うん、やってること、正社員と変わらないんだけどね。でも、まあ、贅沢は言えないかな」
後藤田「え、不破さんは、このままでいいって言うんですか?」
不破「下には下がいるしね」
後藤田「ベッカムさん?」
不破「そうそう、彼女、派遣社員じゃない」
後藤田「あー・・・まあ、そうですね」
不破「ホントなら、俺たちのが責任重いはずなのにさ、おんなじ仕事やらせてるじゃん?」
後藤田「う・・・うーん・・・いやあ、でもですよ」
不破「はいはい」
後藤田「逆に言えば、僕らの方が責任重いわけですから、ベッカムさんには、もう少し仕事をお願いしてもいいってことになりませんかね?」
不破「・・・・・・」
後藤田「ね?」
不破「うん・・・そうかも」
後藤田「さすが、不破さん、話がわかるなぁ」
不破「ナースコールとかも、2回に1回くらいはベッカムさんにお願いしてもいいかもね」
後藤田「ああ、ねえ、肉体労働とかも、やっぱ派遣さんに行っちゃいますよね」
不破「俺たちは、管理業務で忙しいからね」
後藤田「責任考えたら、平等ですよね~」
不破「じゃあさ、さっそく新しい業務分担を作成しようか」
後藤田「あんまり急激な変更はダメですよ。少しずつベッカムさんの仕事量を増やして、なし崩し的にですね・・・」
不破「心得てるって」
悪い笑みを浮かべる二人。
ベッカムが戻って来る。
二人、慌てて取り繕う。
ベッカム「はぁ・・・今度はソウルさんがピョンヤンさんのとこ、居座っちゃってる」
不破「えー、なんで?」
ベッカム「なんか、やり返せってホワイトハウスに焚きつけられたみたいで」
後藤田「あー、東棟に攻め入りましたか。じゃあ、クレムリンが黙ってないでしょ」
ベッカム「それが、怒ってんのはペキンさんみたいなんだよね」
不破「なんで?」
ベッカム「クレムリンが焚きつけたんでしょ。ペキンさんにホワイトハウスを潰させるつもりなんじゃない?自分は労せず、高みの見物ってわけよ」
後藤田「なんというか、手段を択ばないですね、クレムリンは」
不破「昔、学生運動のリーダーやってたらしいからね。非情だよね。目的のためなら、何でも使うっていうかね」
ベッカム「自分の女だ、みたいな意識もあるんじゃない?」
後藤田「あー、普段からペキンさんのこと、女中みたいに扱ってましたからね、クレムリン」
不破「でも、逆らえないんでしょ、結局。惚れた弱みだよね」
ベッカム「だけど、やっぱイラつくんじゃない、ペキンさん。めっちゃ怒ってたよ、ソウルさんに対して・・・」
不破「八つ当たりじゃん」
再びナースコール。
ベッカム「はぁ、またソウルさんとこだわ」
不破「何やってんだ、あいつらは、行ったり来たり」
後藤田「今度は、私が行って来ますね。もう、しょうがないなぁ」
不破とベッカム、四方山話。(お客様を巻き込んでのフリートーク)
後藤田が戻って来る。
後藤田「今度は、ピョンヤンさんの部屋からソウルさんが追い出されたみたいですね、ペキンさんに。で。今度はペキンさんとピョンヤンさんが、ソウルさんの部屋まで追っかけて来ちゃって」
ベッカム「不毛だわ。不毛な報復合戦」
不破「そのたびに、俺たちは呼び出される・・・と」
ベッカム「じゃあ、ピョンヤンさんとペキンさんを連れ戻しに行きますか」
ベッカム、西側袖にハケる。
不破「ふぅ・・・じゃあ、俺たちも行くかね」
不破、立ち上がろうとする。
後藤田「あ、その前に掃除ですね」
不破「掃除?」
後藤田「ホワイトハウスが地雷よろしく画鋲撒いちゃったんですよ、東側の二人がソウルさんを追跡できないように。ピョンヤンさんは通り過ぎた後だったんで事なきを得ましたけど、ペキンさんが直撃しちゃって」
不破「バカが・・・利用者同士でケガ人出すなよな。事故報告書モンだよ」
後藤田「それが、ケガしなかったんですよ、ペキンさん」
不破「画鋲踏んづけたんでしょ?なんで?」
後藤田「農作業で硬くなった足で、問答無用に踏み越えたみたいで」
不破「素足ってこと?」
後藤田「ええ」
不破「素足で地雷原、踏み越えるってすごいね。人民解放軍かよ(笑)」
後藤田「笑ってる場合じゃないです。さあ、片付けに行きますよ」
東側袖にハケる三人。と、三人同時に東西の袖から出てくる。
ベッカム「ホワイトハウスとソウルさんが、ペキンさんとピョンヤンさんを押し戻したって」
不破「ああ、俺らも東棟の利用者から聞いたよ」
後藤田「早くホワイトハウスとソウルさんを止めないと」
ベッカム「力仕事はメンズに任せた。私、地雷を片付けるから」
不破と後藤田は西袖へ。ベッカムは東袖へ。三人同時に東西の袖から出てくる。
不破「ダメだ、ホワイトハウス、止められなかった」
ベッカム「そっちはもういいよ。ペキンさんがまた、ソウルさんの部屋に向かったって。ピョンヤンさんも」
後藤田「止めてきます。ベッカムさんはソウルさんの手当てを。自傷行為やら東側の攻撃やらで、あちこちケガしてますから」
ベッカム「わかった!」
不破と後藤田は東袖へ。ベッカムは西袖へ。三人同時に東西の袖から出てくる。
ホワイトハウスが!ペキンが!ピョンヤンが!ソウルが!地雷が!など、叫びながら西と東の袖を行ったり来たりする三人。
全員、舞台に戻ってきて椅子に腰かけグッタリ。
不破「あー、ようやく全員寝てくれたね」
ベッカム「ダメだ、これ。水分と糖分取らないと」
後藤田「さっき、腹に入れた分、確実に消費しましたね」
全員、ペットボトルを飲んでため息をつく。時計を見る不破。
不破「お、退勤時間」
ベッカム「ようやく来たね、この時が」
不破「帰ろうぜ。マジ疲れた」
後藤田「おつかれさまです」
不破「後藤田くん、帰んないの?」
後藤田「日誌書いてから上がります」
不破「了解。じゃあ、先、上がるよ」
ベッカム「ルマンドもらってくね」
後藤田「はーい、おつかれさまでーす」
不破とベッカムが退場。
日誌を打つ後藤田。
後藤田「2035年10月1日。この日はソウルさんが元の部屋に戻ったところで、ペキンさんとピョンヤンさんは力尽きた。一人だけ元気なホワイトハウスが二人を東棟に押し戻し、結局は元の状態に。一体、この晩の騒ぎは何だったのだろう。最初からこの状態で大人しく寝てくれれば、我々も楽なのだが。団塊世代の老人たちは実にパワフルだ。私たちが老人になった頃には、こんなに元気ではいられないだろう。介護する側は定めし楽に違いない。・・・いや、若い人口が少ないので、結局は苦労を強いられるのかもしれないが・・・」
後藤田、退勤の挨拶をして、北朝鮮の歌を歌いながら退場。
不破とベッカムが出勤してくる。


コメント