手弱男と作法(宮田涼介)

手弱男(たおやお)と作法 vol.2 – 宮田涼介

「御免ください、安原涼太の父ですが、息子の遺品整理に参りました」師走の昼下がり、挨拶も程々に如何にもバツの悪そうな面持ちでずかずかと私の家に上がり込むのは涼太の父親だ。事件から九ヶ月もの月日が過ぎ、今更になって練馬からはるばる逗子までやって...
手弱男と作法(宮田涼介)

手弱男(たおやお)と作法 vol.1 – 宮田涼介

「ねぇ、あたしと遊びません?」「ねぇ、お時間ありません?」「挿れてくれるなら一万五千、お口だけなら五千円よ」「そこの安いホテルで良いわよ」逗子海岸の穏やかな波音。頬を掠める潮風に乗って、我が親友の魂の彷徨いが聞こえた。聞こえた気がした。黄昏...
団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ

団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ Episode.018

第三章 なにがしか大きなもの作:NYO 「むずかしいお話、終わった?」 アケミが天幕に首を突っ込んで、こちらの様子をうかがっていた。 あー、そうだ。俺には彼女がいた。愛人付きの金満生活より、売れない文士時代の貧乏生活のほうが良かったってのか...
団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ

団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ Episode.017

第三章 なにがしか大きなもの作:NYO 「では、何のためにオースギを殺したのか?犯人の目的は何でしょう?」 教師が生徒を導くように、ロレンスが問いかける。 「やつの裏切りを証明し、見せしめとして晒すためだ。それしかないだろう」 まあ、ハッキ...
団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ

団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ Episode.016

第三章 なにがしか大きなもの作:NYO ロレンスがこちらにパソコンのディスプレイを向ける。二月蜂起からこちら、実施された作戦ごと、部隊ごとの兵の死傷者数が整然とエクセルシートに並んでいる。 「ここを見てください」と、ロレンスがある作戦のセル...
団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ

団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ Episode.015

第三章 なにがしか大きなもの作:NYO そして、アケミは俺の私設秘書の立場に収まった。実にベタな展開だ。彼女は秘書らしい仕事など少しもしない。誰もが俺の愛人だということを認知していたし、彼女もそれを隠そうとしなかった。上司の愛人なんて同僚に...
団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ

団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ Episode.014

第三章 なにがしか大きなもの作:NYO その晩は、ロレンスが俺の天幕を訪れた。 今後の相談とのことだったが、アケミとコトに及ぼうとしていたまさにその時だったので、取り繕うのに少しパニックになった。二人とも無理して平静を装ったが、観察眼の鋭い...
団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ

団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ Episode.013

第2章 総帥の栄光と不安作:NYO はぁ、それにしても性急だ。革命政府についてはいずれ樹立を目指すつもりだったが、しばらく熟考のうえで進めたかった。 さて、どうする?後戻りはできなくなった。 2035年現在、統一政府が崩壊した中国大陸には大...
団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ

団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ Episode.012

第2章 総帥の栄光と不安作:NYO 翌朝、兵士たちの歓声で俺は目覚めた。 なんだ・・・何事だ・・・! 軍服を着て天幕の外に飛び出すと、マオさんが満面の笑みで近づいてくる。 「やあ、おめでとう、駒潟同志」 おめでとう?どういうことだ。 怪訝な...
団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ

団塊ノ絶滅、氷河期ノオワリ Episode.011

第2章 総帥の栄光と不安作:NYO はぁ・・・。 ため息とともに、俺は寝床にダイブした。 それじゃリラックスできないでしょ・・・と、アケミが軍服を脱がしにかかる。 党中央委員会が終了し、自分の天幕にたどり着いた頃にはすでに日付が変わっていた...